計量魚探によるスケトウダラ若齢魚の現存量推定


[要約]
北海道東部太平洋に分布するスケトウダラ若齢魚群の現存量推定に,計量魚群探知機(計量魚探)による現存量調査を導入し,より高精度の現存量評価法を開発した.
北海道区水産研究所・資源管理部・浮魚資源研究室
[連絡先]0154-91-9136
[推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議
[専門]資源生態
[対象]すけとうだら
[分類]調査

[背景・ねらい]
TAC制度に基づいて漁業管理が行われると,これまで資源管理に用いてきた漁業情報が,実際の資源状況を正確に反映しにくくなることが予想される.そのため,今後は漁業から独立した資源量推定法の確立が急務となる.本研究では,計量魚群探知機(計量魚探)によるスケトウダラ若齢魚の現存量直接推定法の開発を目標とする.

[成果の内容・特徴]

    1996年春季に北海道東部太平洋においてスケトウダラを対象として計量魚探調査を実施した.その結果,スケトウダラ1歳魚は沿岸から陸棚縁辺部にかけて分布しており,他魚種や他の年齢群との混在は殆ど見られず,魚探調査には好条件であった.霧多布~落石沖に道東全体での現存量の約半分が集中分布しており,現存量は,28億尾,12万6千トン,推定値の誤差標準偏差は3億6千万尾,1万6千トンと推定された.  また2歳魚以上の年級の大部分は陸棚斜面上に分布していたが,海底との分離が難しく,計量魚探調査による資源推定は困難であることが示された.

[成果の活用面・留意点]

  1. 計量魚探による調査は、航走中連続してデータを収録することが出来、他の方法に比べ時間・労力あたりの情報収集量が飛躍的に増大した.
  2. Geostatistics(地理統計学)と呼ばれる新たな統計手法を導入することにより,推定値の信頼性は従来の推定法の3倍程度に向上した.

[具体的データ]

図1 スケトウダラ1歳魚のエコーグラム

図2 スケトウダラ1歳魚の水平分布と推定現存量


[その他]
研究課題名:計量魚探によるスケトウダラ現存量評価法の開発
予算区分 :漁業調査取締費
研究期間 :平成8年度(平成8年~平成10年)
研究担当者:北海道区水産研究所 資源管理部 浮魚資源研究室 本田  聡
発表論文等:
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