石膏の球で漁場(流れ)を測る


[要約]
ホーツク海沿岸のホタテガイ漁場において、石膏球を海底から10㎝の高さになるように設置し、一定期間の石膏の減少量を流れの強さに換算することにより、ホタテガイの成長との関係を検証した。
北海道立網走水産試験場・資源増殖部
[連絡先]0152-43-4591
[推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議
[専門]漁場環境
[対象]ホタテガイ
[分類]研究

[背景・ねらい]
タテガイの生息環境要因のなかで、海底近くの流れの強さは海の成長に影響を及ぼす重要な要因である。石膏の球は水の動きが大きければ大きく削れることを利用して、石膏球を用いた測流を試み、ホタテガイ漁場を測る簡単かつ正確な新しい物差しをつくる。

[成果の内容・特徴]

  1. 石膏球による海底近くの流れの強さの測定を試みた(写真1)。
  2. この方法は簡単な係留装置で流れの強さの測定が可能である(写真2)。
  3. 一度に複数地点の調査が可能であり、同一漁場内の流況の違いを評価できる(図1)。
  4. 異なる漁場間の流況比較から、各漁場環境の物差しとなることから明らかとなった(図2)。
  5. 今後、多魚種の漁場環境の物差しとしても応用が可能である。

[成果の活用面・留意点]

    石膏球の利用については、海況条件の異なる漁場の他漁種の関しても検討されている。

[具体的データ]

図1 網走の漁場における調査結果

図2 異なる漁場における調査結果の比較

写真1 流況測定用石膏球

写真2 係留装置の投入風景


[その他]
研究課題名:ホタテガイの増殖に関する試験
予算区分 :道費:水族増殖試験研究
研究期間 :平成9年度(平成4年度~平成7年度)
研究担当者:北海道立網走水産試験場・資源増殖部 宮園 章・多田 匡秀・桑原 康裕
発表論文等:北海道立網走水産試験場 平成4年度事業報告書
北海道立網走水産試験場 平成5年度事業報告書
北海道立網走水産試験場 平成6年度事業報告書
北海道立網走水産試験場 平成7年度事業報告書
水産海洋研究 59巻4号 1995
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