ホッキガイの中間育成はタマネギ袋でOK!


[要約]
ホッキガイ稚貝を海中で中間育成を行う一つの方法として、育成器に代わりにタマネギ袋を用いたところ、初冬から翌春までの生残率が80%を上回り、作業面、コスト面でも有効な方法と考えられた。
北海道立栽培漁業総合センター・貝類部・貝類第一科
[連絡先]01372-7-2234
[推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議
[専門]飼育
[対象]ウバガイ
[分類]研究

[背景・ねらい]
砂を用いた育成器で海中に垂下する中間育成方法は、重く作業性が悪いため、大量の稚貝を収容し回収するのは容易ではない。この問題を改善するために、市販のタマネギ袋を使って、効率的でかつ安価な、将来の事業化に即した手法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 袋は細かな網目になっており(写真1)、潮どおしがよく、大量の稚貝を収容(写真2)しても斃死する個体が少ない。
  2. 育成器で行う場合より生残率が高い傾向があり、11~12月から翌春までは80%以上の稚貝が生き残る(図1)
  3. 市販のタマネギ袋を使用することで、資材の入手が容易であり、経費が安く抑えられる。
  4. 砂が少ないため、船上作業がしやすく(写真3、写真4)、よって省力化が図られ、事業化による大量生産に対応することができる。

[成果の活用面・留意点]

    日本海で行われるバカガイの中間育成試験に応用する。

[具体的データ]

写真1 稚貝を入れたタマネギ袋

写真2 丸籠にタマネギ袋を入れ大量に収容する

写真3 ロープに吊したタマネギ袋の回収

写真4 船上での作業風景

図1 育成器とタマネギ袋の生残率の違い


[その他]
研究課題名:地域特産種量産放流技術開発事業
予算区分 :国費:地域特産種量産放流技術開発事業
研究期間 :平成5年度~平成9年度 
研究担当者:北海道立栽培漁業総合センター・貝類部・貝類第一科 中島 幹二・奥村 裕弥
発表論文等:平成5年度地域特産種量産放流技術開発事業(二枚貝グループ)報告書
平成6年度地域特産種量産放流技術開発事業(二枚貝グループ)報告書
平成7年度地域特産種量産放流技術開発事業(二枚貝グループ)報告書
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