[要約]
道東沖合の大陸斜面上に設置した2点の係留系による流れのデータと厚岸沿岸域から南南東にのびる定線上のCTD観測結果を用いて、2点の係留点間の大陸斜面上を南西に流れる親潮の流れの構造とその季節的変化を調べた。その結果、流量は1月、5月に極大、6月、10月に極小の季節変化をもち、流量の極大は少なくとも70Sv程度に達することが明らかになった。
北海道区水産研究所・海洋環境部・海洋動態研究室 [連絡先]0154−91−9136 [推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議 [専門]海洋構造 [対象] [分類]研究
係留系による流れの連続観測データと定線観測による CTDデータ及び直接測流データを用いて季節風強化に伴う西部亜寒帯循環の鉛直・水平的な変動特性を調べて、亜寒帯循環の応答特性を明らかにする。流れ、海面形状、及び水位の長期にわたる時系列データを解析して、この順圧的応答を確かめるとともに、係留系による流れの連続観測データと定線観測による CTDデータ及び直接測流データを用いて季節風強化に伴う西部亜寒帯循環の鉛直・水平的な変動特性を調べて、亜寒帯循環の応答特性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
道東沖合の大陸斜面上に設置した2点の係留系による流れのデータと厚岸沿岸域から南南東にのびる定線上のCTD観測結果を用いて、2点の係留点間の大陸斜面上を南西に流れる親潮の流れの構造とその季節的変化を調べた。2点の係留点間を南西に流れる親潮の流れは、1月または5月には表層から海底に至るまでの西南西向きの流れを示し流量は30Svに達するのに対し、6月または10月には流れは2000m以浅に限られ、それ以深では流れはほとんどないか東北東向きとなり流量は2〜3Svに減少した。しかし、1および5月の絶対地衡流の速度分布は流速の最大が断面よりも南側に位置することを示唆しており、これらの流速分布からは親潮の流動変動を見積もることはできない。このため、大陸斜面を西南西に流れる相対地衡流量の季節変化を調べたところ、この流量は1月または5月を極大、6月または10月を極小とする季節変化を見せた。相対地衡流量の極大は26〜55Sv、極小は3〜13Svの範囲にあり、年周期の中の両極値間の変化は13〜52Svに達している。最強流域をとらえていない1993年1月、5月、および1995年5月、さらに流量の小さい1992年6月と1993年10月の各観測を除けば相対地衡流量は絶対地衡流量の42〜75%の範囲にある。これを考慮すれば絶対地衡流量も1月、5月に極大、6月、10月に極小の季節変化をもち、流量の極大は少なくとも70Sv程度に達するといえる。
[成果の活用面・留意点]
[具体的データ]
厚岸沖から南南東に伸びる定線の流速計データを基準とした地衡流速の分布
[その他] 研究課題名:冬季季節風の強化に伴う西部亜寒帯循環の応答特性の解明 予算区分 :経常 研究期間 :平成9年度(平成7年〜平成9年) 研究担当者:北海道区水産研究所 海洋環境部 海洋動態研究室 河野時廣・川崎康寛 発表論文等: