[要約]
マツカワ人工種苗の性比が偏る原因を解明し、種苗生産において雌雄の出現比率が等しくなる種苗の育成技術を開発する。
北海道立栽培漁業総合センター 魚類部 魚類第一科 [連絡先]01372−7−2234 [推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議 [専門]増養殖技術 [対象]かれい [分類]研究
マツカワの種苗生産において、人工種苗の約90%が雄となり、雌の比率が極端に少なることが大きな問題となっている。そこで、マツカワの性比が偏る原因を明らかにし、雌雄の出現比率が等しくなる人工種苗の育成技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- マツカワの仔稚魚を高水温(18℃)で飼育すると、低水温(14℃)で飼育した場合と比較して成長が良かったが、雌の割合が著しく低率であった(図1)。
- 仔稚魚の生殖腺の発達過程を調べた結果、全長37mmをこえると、雌の生殖腺には卵巣腔や卵母細胞が形成され始め、全長50mmになると、完全に雌または雄に分化した(写真)。
- 低温で飼育していた稚魚の全長が50mmになる前に飼育水温を上げ、高水温で飼育した場合、雌の出現率が低下した。一方、全長50mmをこえるまで低い水温を維持した場合、稚魚の半数が雌になり、雌の出現率が高まった(図2)。
- マツカワの人工種苗は、仔稚魚期に高水温で飼育した影響によって、本来、雌になるものが雄へ性転換していたと考えられた (図3)。
[成果の活用面・留意点]
マツカワの種苗生産において、仔稚魚の生殖腺の分化が完了する全長50mmまでは14℃以下の低水温で飼育し、その後、昇温すると、性比に偏りがなく、かつ、成長が良い種苗をつくることができる。
[具体的データ]
[その他] 研究課題名:性比コントロールと人工催熱によるマツカワ種苗安定化試験 予算区分 :道費:共同研究 研究期間 :平成9年度(平成5年度〜平成7年度) 研究担当者:森 立成 発表論文等:
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