サンマの漁況を予測する


[要約]

毎年、夏から秋にかけてサンマが多獲される道東海域で、漁期前に流し網を用いて深集尾数や体長組成を調査し、どんな型のサンマがどのくらい来遊しているのか予測している。漁船で漁獲されたサンマの体長組成や漁況と良く一致するようになってきた。

北海道立釧路水産試験場・資源管理部
[連絡先]0154−23−6221
[推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議
[専門]資源評価
[対象]サンマ
[分類]普及

[背景・ねらい]

  サンマの漁獲量は過去に大きな変動を繰り返し、さんま漁業はもちろん、水産加工業、運輸業など周辺業界に大きな影響を与えてきた。資源の持続的利用のためのTACによる漁獲管理が始まり、さんま漁業や周辺業界の経営の計画性を高めることが今まで以上に必要になってきた。そのためには、年々のサンマの漁況予測の精度をより向上させる。                                                    

[成果の内容・特徴]

  1. 漁期前の調査船による流し網での平均採集尾数と、その年の漁況(さんま漁船のCPUE)が良く一致することが明らかとなった(図1)。特に、東経155〜160度の海域での採集尾数が、その年の漁況と良く一致することが明らかになった(図2)
  2. 漁期前調査で採集されたサンマの体長組成と漁期中の漁獲物の体長組成は、体長29cm以上の特大・大型魚で良く一致した(図3)
  3. このように、サンマの来遊状況、体長組成についての予測の精度を向上させることができたが、漁場の位置の予測については、今後、さらに予測の精度の向上を図っていく必要がある。                                                                          

[成果の活用面・留意点]

  サンマ漁況予測として漁業関係者に公表。

[具体的データ]

図1 調査船による流し網調査による平均採集尾数の推移とさんま漁船のCPUEの推移

図2 東経149〜155度と東経155〜160度の採集尾数の推移

図3 調査船調査で採集されたさんまの体長組成と漁期中にさんま漁船が漁獲したサンマの体長組成の比較      


[その他]
研究課題名:サンマの漁況予測技術の開発
予算区分 :道費:広域性浮魚類資源生態調査(国費:我が国周辺海域漁業資源調査)
研究期間 :平成9年度(平成元年〜平成8年度)
研究担当者:本間隆之
発表論文等:1997年度水産海洋学会研究発表大会講演要旨集
目次へ戻る