ヒラメ・カレイ類の精子の保存技術


[要約]

液体窒素を用いたヒラメ・カレイ類の精子の長期保存について検討し、ストロー法及びペレット法による凍結保存技術を開発した。

北海道立中央水産試験場・資源増殖部
[連絡先]0135−23−8700
[推進会議]北海道ブロック水産研究関係試験研究推進会議
[専門]増養殖技術
[対象]ひらめ かれい類
[分類]研究

[背景・ねらい]

  近年、北海道においても、ヒラメなど海産魚類の養殖試験が盛んになっているが、冬期間の低水温による成長の遅れが問題になっている。この問題を解決するためには、異種間交雑や染色体操作などにより低水温でも成長のよい種苗を作出する必要がある。そのための基礎技術として、精子の長期保存技術の開発を目的とする。                                                    

[成果の内容・特徴]

  1. ヒラメ・カレイ類の精子を用いて「ストロー法」と「ペレット法」という2種類の凍結保存技術を開発し、ヒラメ、マツカワ、マガレイ、マコガレイ、クロガシラガレイ、ババガレイ、オヒョウなどの精子を液体窒素中に冷凍保存した。
  2. ペレット法は、採取した精液を希釈液で希釈後、直ちにドライアイス表面に開けた小さな穴に滴下し、ペレット状に凍結する方法である。
  3. ストロー法は、希釈した精液を牛精液保存用のポリエチレン製ストロー管に封入し、それを液体窒素の浸らない状態で、液体窒素表面上の適当な位置を保ち、液体窒素の蒸気によって凍結する方法である。
  4. ペレット法はサケマス類で行われている方法であり、ストロー法は畜産分野で実用化されている方法である。ヒラメ・カレイ類を対象に精液希釈の組成、凍結及び解凍速度、凍結保護剤の濃度等の条件を最適化した。
  5. 各魚種について、冷凍後1〜2年後に解凍した精子の活性が確認され、長期保存技術を確立した。                                                                          

[成果の活用面・留意点]

  精子の長期保存技術及び凍結精子を用いた異種間交雑の可能性が得られ、精子の活性度と機能の保持能を検討し、今後、異種間交雑等の技術開発に活用する。

[具体的データ]

精子の凍結保存法

ヒラメ・カレイ類の精子


[その他]
研究課題名:染色体操作技術等の応用による養殖用ヒラメの優良品種作出試験
予算区分  :道費:水産試験場費
研究期間  :平成9年度(平成4年〜平成8年度)
研究担当者:斉藤 節雄
発表論文等:ヒラメ・カレイ類精液の冷凍保存 北水試48,9−17,1996

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