厚岸周辺海域でニシンの種苗放流を実施しました
北海道区水産研究所 生産環境部 資源増殖グループ(厚岸庁舎)は、ニシン資源の増殖と管理技術の開発を目的に、厚岸湾ニシン資源育成協議会(関係漁協と自治体で構成)と共同で調査・研究を進めています。その一環として、2012(H24)年7月31日〜8月9日に生態研究に供する約60万尾の人工種苗を道東の厚岸周辺海域に放流しました。
放流した種苗は、4月19日に当日漁獲されたニシンを使って人工授精を行い、厚岸庁舎内の飼育水槽でふ化させたものです。ふ化後約3ヶ月間の飼育で6cm程に成長した種苗を直接海に放流するのではなく、天然環境に慣らすために海上に設置した筏で1週間飼育(中間育成)した後に放流しました。
厚岸でのニシン種苗の飼育・放流作業は、北水研と厚岸湾ニシン資源育成協議会が協力して実施しており、人工授精と室内水槽での飼育は北水研、中間育成は協議会が主に担当しています。放流当日も協議会メンバーである漁協職員や漁業者らと一緒に作業を行いました。
放流した種苗には全て標識が取り付けられています。今後追跡調査を行い、移動・回帰の状況や資源変動要因解析のためのデータを集め、ニシンの生態に応じた増殖・管理技術の開発に取り組む予定です。
① 中間育成筏 天然の環境に慣れさせるために海上に設置した筏で1週間飼育した後に放流します |
② 6〜7cmに成長したニシン種苗 放流して2年経つと25cm程に成長し、産卵のために厚岸周辺海域に戻ってきます |
③ 放流作業 中間育成した網を外すと、ニシン種苗が元気よく海に出て行きました |