おさかなセミナーくしろ2002 砂浜の生き物、貝類より   

 ホタテガイは2枚のうちわ状の殻をもち、
両殻のふくらみと色彩は異なります。左殻は
ふくらみが弱く殻表が紫褐色ですが、右殻は
ややふくらみ白色です。
 雌雄異体ですから、雄と雌にわかれていま
す。卵や精子は生殖巣でつくられます。生殖
巣は三日月型をしていて、貝柱(閉殻筋)の
傍にあります。繁殖期に成熟すると生殖巣に
色が付き、雄と雌を見分けることができます。
乳白色が雄で、赤桃色が雌です。繁殖期でな
ければ判別が難しくなります。
 春に放卵・放精が起こり、卵は海中で受精
し、浮遊幼生になります。その後、およそ1
ヶ月あまり浮遊生活しますので、その間はプ
ランクトンです。殻が 0.3mm近くになると、
足糸で海中や海底の物体に付着します。この
生態特性に着目したのが天然採苗です。採苗
器を海中に設置することで、人間が増養殖で
利用するための種苗を採取できます。
 天然では付着生活のあとに、足糸を切って
海底に移ります。砂礫質の浅海底が生息場所
です。砂礫に浅いくぼみをつくって、右殻を
下にし、左殻の上に少し砂をかぶった状態で
生活します。アサリなど埋在性貝類のように
砂の中に深く潜ることはなく、海底表面に棲
む表在性です。ジェット水流を噴射して動く
ことができる活動的な貝です。若くて軽い貝
は海底から浮き上がり短時間ですが泳ぐこと
もできます。
 適した棲み処は砂礫質の海底ですが、砂礫
がなければ生きて行けないという訳ではあり
ません。人為的に海底の砂礫から離して海中
に吊るした状態でも生かすことができます。
この特徴が現在盛んな垂下養殖を可能にした
理由です。(伊藤)

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