各部の紹介

さけます資源研究部

 日本のさけます類(サケ・カラフトマス・サクラマス・ベニザケ)は降海後に他国起源のさけます類とともに北太平洋を回遊します。当部では河川生活期から回帰・産卵に至る全生活史を対象とした試験研究を行っています。特に資源の安定的管理に向け、環境要因から生じる資源変動の把握とこれを緩和するための研究開発、野生魚とふ化放流魚の双方を利用した環境変化に強い生産システムの構築を目指す研究開発、種特性や地域特性に応じて健康な種苗を安定的に生産するためのふ化放流技術の改善に関する研究開発などをさけます生産技術部と協力して行っています。


北光丸での調査

遊楽部川での調査

さけます生産技術部

 さけます類について、国が定めた計画にそって個体群維持のためのふ化放流を実施しています。また、近年、減少傾向にあるこれら資源の回復と安定化を目指し、沿岸環境などに関するデータを収集・分析するとともに、当所で放流するサケの全数に耳石温度標識を付すことによって放流時期・サイズと回帰率の関係を分析し、さけます資源研究部と連携して資源管理やふ化放流技術の改善に活用しています。さらに、得られた研究開発成果や技術情報などを民間ふ化場などへ普及することに努めています。


サケの飼育

技術者講習会

資源管理部

 国がTAC(漁獲可能量)などで推進する水産資源の管理を科学的に支えるため、主に北海道周辺海域に分布・回遊するスケトウダラ、スルメイカ、ズワイガニ等の重要水産資源の生態や漁業データを収集・分析し、資源の現状を診断しています。併せて資源変動に関わる要因を探り、資源の持続的な利用のための方策を検討しています。また、海獣類を含む高次海洋生態系の構造や動態の解明に向けた研究やトドを中心とする海獣類による漁業被害軽減のため、海獣類の個体数の管理や漁具の改良などにも取り組んでいます。


スケトウダラのトロール調査

航空機によるトド目視調査

生産環境部

 北海道周辺の沖合~沿岸域において、地球温暖化を含む海洋環境の変動が沿岸漁業・養殖業へ与える影響を評価・予測するとともに、環境特性に応じた沿岸水産資源の持続的利用を目指しています。そのために、(1)長期の海洋モニタリング調査による物理・化学環境と低次生産の変動の把握、(2)海洋環境の予測と主要沿岸水産資源に及ぼす影響の評価、(3)環境変動に対する沿岸水産資源や餌生物の生理的・生態的応答の解明、(4)環境変動に応じて沿岸水産資源を持続的に利用するための管理方策や増養殖手法の検討などに取り組んでいます。


ナマコの飼育試験

CTDによるモニタリング調査