ハナサキガニと磯の関わり 3)ハナサキガニの変態と種苗生産

おさかなセミナーくしろ2001「磯の生き物の科学」より

 資源回復対策の一環として、種苗の生産と放流といういわゆる栽培漁業の試みが行われています。

 種苗生産とは、自然界では非常に弱い時期であるゾエア、メガロパから稚ガニへ変態する間を人為的に飼育管理することです。

 天然より早い3月下旬より幼生がふ化し始め、飼育水槽に収容したゾエア幼生には植物プランクトンの珪藻、動物プランクトンのアルテミアを餌として与え飼育します。ゾエアは3期あり、次にメガロパへと変態するとカニらしくなります。メガロパ期は餌を食べません。浮遊期から着底期に変わる時期で、天然では外敵から身を守れて餌が豊富な磯へと移行していく時期と考えられています。次に脱皮をすると親と同じ形態の稚ガニになり、餌も良く食べるようになります。飼育開始から約40日を要していますが、自然界では数%といわれている生残率を60〜70%へ高めることが可能となっています。(芦立)

 

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