国際サーモン年

テーマ IYS Themes

IYSの目標を達成するため,以下のテーマが設定されています。

  1. サーモンの現状(Status of Salmon)
  2. 変動する生息環境におけるサーモン(Salmon in a Changing Salmosphere)
  3. ニューフロンティア(New Frontiers)
  4. 人類の関わり(Human Dimension)
  5. 情報システム(Information System)
  6. 地域社会における広報とコミュニケーション活動(Outreach & Communication)
多数のベニザケ溯上

テーマ1 サーモンの現状(Status of Salmon)

サーモンは生態系の状態を示す象徴的な指標と成り得ます。サーモンを将来にわたり適切に管理するには,これらの資源状態と生息環境を一貫した方法で現状把握する必要があります。IYSでは,サーモンとそれらの生息環境に関するデータを共有するプラットホームを構築し,研究,普及活動や資源管理に貢献することを目指します。

孵化稚魚

テーマ2 変動する生息環境におけるサーモン(Salmon in a Changing Salmosphere*)

気候変動や人類の活動により起こされる生息環境の急激な変化により,サーモンの未来は不確実性を増しています。IYSでは,環境変動がサーモンの分布や資源量などに及ぼす影響に関する研究を推進し,将来サーモンがどのような問題に直面するか予測し,可能な限り問題に対処できるようになることを目指しています。沿岸や沖合において広域的で協調した調査を実施し,サーモンの全生活史を通した資源変動メカニズムに関する理解が増し,温暖化など環境変動に伴うサーモンの将来が予測されることが期待されます。

*Salmosphere: サーモンの分布域

トロール網調査採鱗採水photos: NPAFC

テーマ3 ニューフロンティア(New Frontiers)

技術・分析分野における著しい発展により,サーモンの研究もさらに進展することが期待されます。IYSでは,新しい研究技術や分析方法をさらに発展させて共有し,サーモンの分布や生態などに関する研究や資源管理に応用することを目指しています。たとえば,環境DNA分析により魚種別に分布の南限や北限を調べたり,新しいバイオロギング技術を利用して回遊のメカニズムや生息環境を調べたり,同位体や耳石微量元素の分析技術を応用してサーモンの生息環境,摂餌生態や生理状態を推定できる可能性があります。

サケの頭

テーマ4 人類の関わり(Human Dimension)

サーモンは食料として重要なだけでなく,物質循環や生物多様性の維持,文化的サービスなど様々な生態系サービスに貢献し,地域に多くの恩恵をもたらします。IYSでは,研究者,資源管理者,政治家,サーモンに依存する先住民や漁業関係者そして一般市民など多様な人々が参加し,サーモンの持つ多面的な価値についての理解を深めると共に,様々なレベルで資源を回復・保全するフレームワークを構築し,サーモンと人類のレジリアンスを高めることを目指しています。

新巻鮭作りサーモンをあしらったレストランの看板

テーマ5 情報システム(Information System)

たくさんのグループや人々がサーモン資源の回復と保全という共通の目標に向けて取り組みを行っていますが,研究者,資源管理者,一般市民などの間で情報を共有して協力するシステムは構築されていません。IYSでは,過去,現在と将来に渡るサーモンの研究と管理に関する情報を集約した公開型情報システムの構築を計画しています。

サケとカラフトマス

テーマ6 地域社会における広報とコミュニケーション活動(Outreach & Communication)

急激に変動している環境に適応したサーモンと人類の未来を築くには,科学情報に基づいた広報活動や双方向のコミュニケーションが極めて重要です。IYSでは,サーモンの現状と直面する問題,そして課題を解決するための取り組みなどについて理解を深めるため,国際的キャンペーンを行います。このキャンペーンでは,研究者,資源管理者,政治家,先住民や漁業関係者だけでなく,多くの一般市民や学生にも関心を持ってもらうため,ウェブサイトやソーシャルメディア,講演会など各種イベント,そして水族館,博物館,学校やNPOなどの活動を通じてコミュニケーションをはかります。

サケ捕獲場の見学採卵受精の説明
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