背景 BACKGROUND
北太平洋沿岸におけるサケマス類の最近の年間総漁獲量は100万トン前後であり,歴史的にみて高い水準にあります。しかし,分布の南限に近い地域では温暖化などの影響により資源状態が不安定です。日本産サケは,増殖技術の発達や良好な海洋環境により1970年代後半より増加し,北日本の沿岸漁業を安定的に支えてきました。しかし,2000年代になるとサケの来遊数は長期的に減少傾向を示しています(図)。
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一方,「サーモン」でおなじみの北大西洋に分布するタイセイヨウサケは,養殖生産量が200万トンを超えていますが,野生資源の状態は深刻です。2015年の漁獲量は1970年代の10%程度に減少し(図),資源が安定的に維持されているのは北方域の一部で,太平洋サケマス類と同様に分布の南限域では資源の減少が著しくなっています。
太平洋サケマス類やタイセイヨウサケ(あわせてサーモンと総称)と人類との関わりや未来を見定め,各国が協力して持続可能な資源管理に向けた研究や技術開発を推進するため,国際資源管理機関の北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)と北大西洋サケ保全機構(NASCO)が中心となり,「国際サーモン年(International Year of the Salmon; IYS)」プロジェクトが2016年に立ち上げられました。